摂津市トイレ水漏れ

ところが中村は、どうした風の吹きまわしだか、まるで生みの児の一命に関することででもあるかのように、半狂乱のていだった。彼は摂津市トイレ水漏れも聴かずに、是非とも罨法をやらなくてはいけない、それからまた、薄い茶を二三杯、それも『熱いくらいじゃ足りませんぜ、煮え沸るような奴を』一どきにぐいぐい飲まなくちゃいけないと、一所懸命に言い張った。——彼は許しも待たずに工事のところへ走って行って、二人がかりでいつもがらんどうになっている台所に火をおこし、ぷうぷうとさもう゛ぁるを吹いた。またその一方では病人を下着だけにして、毛布でぐるぐる巻きにして、寝かしつけることまでやってのけた。おまけに二十分そこそこでお茶もはいるし、最初の罨法具もできあがった。「これはお皿を暖めたんです、真赤に焼けてますよ!」と彼は、熱した皿をなふきんにくるんだ奴を斉藤の痛む胸もとに当てがいながら、ほとんど熱狂したような声で言った、「罨法をやろうにも、このほかにはなんにもないんです。取り寄せていたんじゃ暇がかかりますしね。だがこの皿という奴は、なんなら首にかけても請合いますがね、むしろ一等よく利くぐらいのものなんですよ。あのぴょーとるくーじみちで試験済みも試験済み、ちゃあんとこの眼と手を使って見届けたんですよ。手遅れになった日にゃ命とりですぜ。さあお茶を飲むんです、がぶりと一呑みに——火傷ぐらいがなんですか。掛替えのない命ですぜ……御面相なんざ二の次ですよ……。」彼のおかげで寝呆け眼の工事は散々の目に逢わされた。皿が三四分ごとには取り換えられるのである。